住宅ローン控除中にふるさと納税は損?併用時の計算シミュレーションと損しない申請法
「念願のマイホームを購入して住宅ローン控除が始まったけれど、ふるさと納税もこれまで通り続けて大丈夫かな?」
「併用すると控除額が減って損をするって聞いたことがあるけど、本当はどうなの?」
節税の代名詞ともいえる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)と、返礼品が魅力的なふるさと納税。どちらも家計を助けてくれる嬉しい制度ですが、実は「併用のやり方」を一歩間違えると、受けられるはずの減税枠を使い切れずに切り捨ててしまう「控除ロス」が発生する可能性があります。
せっかくの制度で損をしないために、この記事では両制度を併用する仕組みや、具体的な計算シミュレーション、そして最も大切な「損をしないための申請方法」をわかりやすく解説します。
1. 住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?
結論からいうと、住宅ローン控除とふるさと納税は併用が可能です。
ただし、どちらも「所得税」や「住民税」から税金を差し引く(控除する)仕組みであるため、自分が支払っている税金の総額以上に控除を受けることはできません。
ここで重要になるのが**「控除の順番」と「申請方法の違い」**です。
住宅ローン控除: 所得税から直接差し引く(引ききれない分は住民税から一定額まで差し引く)
ふるさと納税: 自己負担2,000円を除いた全額を、所得税と住民税から差し引く
多くのケースで併用はお得になりますが、所得やローンの残高によっては、ふるさと納税をしたことで住宅ローン控除の枠が住民税の控除上限額を超えてしまい、結果として「本来戻ってくるはずだった税金が戻ってこない」という現象が起こるのです。
2. 「損をする」原因は確定申告にあり?仕組みを解説
なぜ併用で損をすると言われるのでしょうか。その鍵は、ふるさと納税の申請方法である**「確定申告」と「ワンストップ特例制度」**の違いにあります。
確定申告の場合(要注意)
ふるさと納税を確定申告で申請すると、控除は「所得税」と「住民税」の両方から行われます。この時、「ふるさと納税の所得税控除」が「住宅ローン控除」よりも先に適用されるというルールがあります。
ふるさと納税によって所得税が先に減る。
減った後の所得税に対して、住宅ローン控除を適用する。
所得税で引ききれなくなった住宅ローン控除分は、住民税へ回される。
しかし、住民税から控除できる住宅ローン控除には「上限額(課税所得の5%または7%、最大9.75万円〜13.65万円)」がある。
上限を超えた分は切り捨てられ、損(控除ロス)が発生する。
ワンストップ特例制度の場合(おすすめ)
一方で、ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税の控除は全額「住民税」から差し引かれます。 所得税には一切影響を与えないため、住宅ローン控除の所得税枠を最大限に活用でき、控除ロスが発生しにくくなります。
3. 【ケース別】損をしないための計算シミュレーション
具体的にどれくらい影響が出るのか、一般的な会社員の例でシミュレーションしてみましょう。
【前提条件】
年収:500万円(所得税:約14万円、住民税:約24万円)
住宅ローン残高:3,000万円(控除率0.7%の場合、最大控除額21万円)
ふるさと納税額:5万円
住民税からの住宅ローン控除上限:9.75万円(※居住開始年等による)
パターンA:ワンストップ特例制度を利用
所得税からの控除: 住宅ローン控除が14万円フルに適用され、所得税は0円に。
住民税からの控除: * 住宅ローン控除の残り(21万-14万=7万円)が住民税から引かれる(上限9.75万円以内なのでOK)。
さらに、ふるさと納税分(約4.8万円)が住民税から引かれる。
結果: 住宅ローン控除もふるさと納税も、満額控除され、損はありません。
パターンB:確定申告を利用
所得税からの控除: * 先にふるさと納税の所得税控除(約5,000円)が適用される。
残った所得税(13.5万円)に住宅ローン控除を適用。
住民税からの控除: * 住宅ローン控除の残り(21万-13.5万=7.5万円)が住民税から引かれる。
さらに、ふるさと納税の住民税分(約4.3万円)が引かれる。
結果: 今回のケースでは住民税の枠に余裕があるため損は出ませんが、もし住宅ローン控除額がもっと大きい場合や、住民税の上限額が低い場合は、数千円〜数万円単位で控除しきれない額が出てくる可能性があります。
4. 住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の3つの鉄則
損をせず、最大限に節税効果を享受するための具体的な対策をまとめました。
① 住宅ローン控除「2年目以降」はワンストップ特例を活用
住宅ローン控除の初年度は必ず確定申告が必要ですが、2年目以降は会社の年末調整で完結します。2年目以降にふるさと納税を行う場合は、可能な限り**「ワンストップ特例制度」**を選びましょう。これにより、所得税の枠を争うことなく、スムーズに併用が可能です。
② 控除上限額を「住宅ローン控除後」で再確認
ふるさと納税サイトのシミュレーターで「寄付上限額」を調べる際、多くの場合は住宅ローン控除を考慮していない数値が出ます。「詳細シミュレーション」機能があるサイトを使い、住宅ローン控除額を入力した上での正確な上限額を把握しましょう。
③ 医療費控除など他の控除がある場合は要注意
医療費控除や副業の申告などで確定申告を行う場合、たとえ「ワンストップ特例」の申請書を出していても無効になります。確定申告時には、必ずふるさと納税の寄付金控除もあわせて記載する必要があります。この場合は、前述した「所得税から先に引かれる」ルールが適用されるため、より慎重な計算が必要です。
5. まとめ:賢く併用してマイホーム生活を豊かに
「住宅ローン控除があるからふるさと納税は諦める」必要は全くありません。
1年目: 確定申告が必須なので、多少の控除ロスは許容範囲として割り切るか、寄付額を調整する。
2年目以降: ワンストップ特例制度を利用して、所得税への影響をゼロにする。
このルールを守るだけで、住宅ローンの負担を減らしつつ、ふるさと納税で全国の美味しい特産品を楽しむことができます。
自分の年収や住宅ローンの残高、そして住民税からの控除上限額を正しく把握することが、最強の節税への近道です。制度を正しく理解して、損のない家計管理を目指しましょう。