特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告すべき?ふるさと納税の限度額アップと社会保険料の落とし穴を徹底比較
「株や投資信託で利益が出たけれど、特定口座(源泉徴収あり)だから確定申告は不要だよね?」
そう思っている方は多いはずです。確かに、特定口座(源泉徴収あり)は証券会社が納税を代行してくれる便利な仕組みですが、実は**「あえて確定申告をする」ことで、手元に残るお金が数万円、数十万円と変わる可能性がある**ことをご存知でしょうか。
特に「ふるさと納税の限度額を増やしたい」「配当金の税金を取り戻したい」と考えている方にとって、確定申告は最強の節税戦略になります。しかし、無計画に申告すると「社会保険料が跳ね上がる」という恐ろしい罠も潜んでいます。
この記事では、投資収益を最大化するために、特定口座でも確定申告をすべきケースと、絶対にしてはいけないケースを徹底解説します。
1. 特定口座(源泉徴収あり)の仕組みをおさらい
まず前提として、特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、利益に対して約20%(所得税15.315%、住民税5%)が自動的に差し引かれます。
この仕組みのメリットは、**「どれだけ稼いでも原則として確定申告が不要」であり、さらに「どれだけ利益が出ても合計所得金額にカウントされない」**という点にあります。この「所得にカウントされない」という性質が、後述する社会保険料や扶養の問題で非常に重要な意味を持ちます。
2. 確定申告で得をする!3つの大きなメリット
あえて手間をかけて確定申告を行う主な目的は、収益の最大化と節税です。
① ふるさと納税の「寄付限度額」が引き上げられる
ふるさと納税の控除上限額は、その年の所得金額によって決まります。特定口座の利益を確定申告して「所得」として算入することで、全体の所得が増え、結果としてふるさと納税できる枠が拡大します。
例えば、株の利益が100万円ある場合、それを申告することでふるさと納税の限度額が数万円単位で増えることがあります。実質2,000円の自己負担でより多くの返礼品を受け取れるため、実質的な利回りを高めることが可能です。
② 「損益通算」と「繰越控除」で払いすぎた税金を取り戻す
複数の証券会社を使っている場合、A社で利益が出て、B社で損失が出ていることがあります。この場合、確定申告(損益通算)をすることで、A社で徴収された税金の還付を受けることができます。
また、その年の利益よりも損失の方が大きかった場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せる「繰越控除」が利用できます。翌年以降の利益から損失分を差し引けるため、将来の税金を安くする「節税の貯金」ができるのです。
③ 「配当控除」で所得税率を下げる
年収が一定以下(一般的に課税所得が900万円以下)の場合、配当金を「総合課税」として申告し、配当控除を適用することで、源泉徴収された20%の税金の一部が戻ってくる可能性があります。特に低所得者層やリタイア世代にとっては、非常に効果の高い手法です。
3. 要注意!確定申告による「社会保険料」の落とし穴
ここまではメリットばかりですが、ここからが「収益最大化」の鍵となる注意点です。
かつては「所得税は申告し、住民税は申告不要にする」という使い分けが可能でしたが、2024年(令和6年度)以降、所得税と住民税の課税方式を一致させなければならないルールに変わりました。これにより、以下のリスクが劇的に高まっています。
国民健康保険料・介護保険料の値上がり
自営業者やフリーランス、あるいは定年退職後の無職の方など、「国民健康保険(国保)」に加入している方は要注意です。
株の利益を確定申告すると、それは住民税上の所得としてカウントされます。国保の保険料は住民税の所得をベースに計算されるため、**「数万円の税金を取り戻すために申告した結果、翌年の保険料が10万円上がった」**という逆転現象が起こりかねません。
扶養控除・配偶者控除から外れる
専業主婦(主夫)や学生が株で利益を出し、それを申告した場合、その利益が所得に加算されます。
所得が一定の基準(合計所得金額48万円など)を超えてしまうと、世帯主の「扶養」から外れてしまいます。その結果、世帯主側の税負担が増えるだけでなく、自身で国民健康保険料を納める義務が生じるなど、世帯トータルで大損をする可能性があります。
4. どちらが正解?シミュレーションで比較
確定申告をすべきかどうかは、あなたの「現在の状況」によって決まります。
申告したほうが良い「収益最大化タイプ」
会社員で職場の健康保険(社保)に加入している人:
会社員の場合、株の利益を申告しても毎月の給与から引かれる社会保険料は変わりません。そのため、ふるさと納税の枠を広げたい場合や、損益通算をしたい場合は積極的に申告すべきです。
複数の口座で利益と損失が混在している人:
源泉徴収された税金を取り戻せるメリットが、保険料増額のリスクを上回るなら申告がお得です。
申告を避けるべき「現状維持タイプ」
国民健康保険の加入者:
所得が増えることによる保険料の増額幅が大きいため、基本的には「源泉徴収あり」のまま放置するのが無難です。
扶養家族に入っている人:
「103万円の壁」や「配偶者控除」の枠を意識しているなら、特定口座(源泉徴収あり)の中で完結させ、所得を表面化させないのが最も賢い戦略です。
5. 失敗しないための具体的な対策ステップ
後から「申告しなければよかった」と後悔しないための手順は以下の通りです。
「年間取引報告書」を確認する: 1月中旬頃に証券会社から届く報告書で、トータルの譲渡損益と配当額をチェックします。
簡易シミュレーションを行う: お住まいの市区町村の公式サイトにある「国民健康保険料シミュレーター」などを使い、所得を増やした場合の保険料の増分を確認します。
「ふるさと納税」の枠を確認する: 控除シミュレーターを使い、株の利益を足した場合にどれくらい寄付枠が増えるか算出します。
トータルでの損得勘定: 「還付金 + ふるさと納税増枠分」>「社会保険料増分」であれば、確定申告に踏み切りましょう。
6. まとめ:投資収益を最大化するために
特定口座(源泉徴収あり)は、私たちが納税の義務を簡単に果たせる素晴らしい制度ですが、それを「ただ放置する」のと「戦略的に活用する」のでは、最終的な資産形成のスピードに大きな差が出ます。
特に近年は税制改正により、以前よりも慎重な判断が求められるようになりました。しかし、仕組みを正しく理解していれば、リスクを回避しつつ、ふるさと納税や配当控除の恩恵をフルに受けることができます。
「自分の場合はどうするのがベストか?」を冷静に見極め、賢く資産を守り、増やしていきましょう。
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