株で損した年は要注意!「損益通算」がふるさと納税の限度額を減らす理由と、失敗しないための計算方法


せっかくの資産運用、利益が出れば嬉しいですが、時には損が出てしまうこともありますよね。「株で損をしたから、確定申告をして税金を取り戻そう!」と考えるのは非常に賢い選択です。

しかし、ここで一点だけ落とし穴があります。それは、株の損失を他の利益と相殺する「損益通算」を行うと、ふるさと納税の控除限度額(上限額)が当初の予想よりも減ってしまうケースがあるということです。

この記事では、投資の損失がなぜふるさと納税に影響を与えるのか、その仕組みと失敗しないための対策を詳しく解説します。


損益通算とふるさと納税の「意外な関係」

まず、言葉の意味を整理しておきましょう。

  • 損益通算:A証券で出た利益と、B証券で出た損失を合算すること。

  • ふるさと納税の限度額:あなたのその年の「所得(利益)」に応じて決まる、自己負担2,000円で寄付できる上限のこと。

ふるさと納税の上限額は、「住民税所得割額」の約2割が目安となります。つまり、所得が多ければ上限額は上がり、所得が少なくなれば上限額は下がります。

なぜ損益通算で限度額が減るのか?

株の損失を確定申告で利益や配当金と相殺すると、税務上の「あなたの所得」が減少します。

例えば、給与所得以外に株の利益が100万円あった人が、別の口座で100万円の損失を出して損益通算をした場合、株による所得は「ゼロ」になります。

この時、ふるさと納税の計算基準となる所得も「利益100万円を加算した状態」ではなく「ゼロの状態(=給与所得のみの状態)」に戻ってしまうため、結果として寄付できる上限額が数千円〜数万円単位で下がってしまうのです。


注意が必要な3つの具体的ケース

単に「損をした」というだけでなく、どのような処理をした時に限度額に影響が出るのかを把握しておきましょう。

1. 複数の特定口座間で「損益通算」をする場合

複数の証券会社を利用しており、一方で利益、もう一方で損失が出ている場合です。これらを確定申告でまとめると、利益分にかかっていた税金は戻ってきますが、その分だけ「ふるさと納税の枠」は削られます。

2. 配当金と譲渡損失を相殺する場合

「源泉徴収ありの特定口座」で受け取った配当金は、本来確定申告不要ですが、株の損失を埋めるためにあえて申告(申告分離課税)することがあります。この場合も、配当所得が損失によって相殺されるため、ふるさと納税の上限額計算に配当所得分が含まれなくなります。

3. 「繰越控除」を利用している場合

過去3年間のうちに株で大きな損を出し、その損失を今年の利益から差し引く「繰越控除」を受けている場合も同様です。今年の利益が去年の損失で相殺されれば、やはり「所得」は低く見積もられ、上限額は上がりません。


失敗を防ぐ!「損益通算」の判断基準

「税金が戻ってくるメリット」と「ふるさと納税の枠が減るデメリット」、どちらを優先すべきでしょうか?

基本は「還付される税金」を優先

多くの場合、株の損失を申告して戻ってくる税金(約20%)の方が、ふるさと納税で得られる返礼品の価値(寄付額の3割程度)よりも実質的な金額メリットは大きくなります。

  • 還付金のメリット:損失10万円を相殺すれば、約2万円の税金が戻ります。

  • ふるさと納税のデメリット:所得が10万円分減ることで、寄付上限額が減るのは概ね1,000円〜2,000円程度です。

このように、基本的には**「しっかり損益通算をして税金を取り戻す」のが正解**ですが、上限額ギリギリまで寄付をしてしまった後に損益通算を行うと、自己負担が2,000円を超えて出し過ぎになってしまう点に注意が必要です。


損した年の「ふるさと納税」失敗しないための手順

損失がある年に、自己負担2,000円をキープしながら最大限ふるさと納税を楽しむためのステップです。

ステップ1:年間の「合計所得」を予測する

12月に入る前に、給与明細や証券会社の「年間取引明細(マイページなどで確認可能)」を見て、損益通算をした後の最終的な所得がいくらになりそうか、ざっくりと計算します。

ステップ2:シミュレーターは「詳細版」を使う

簡易的なシミュレーターではなく、所得の種類(給与、分離課税の譲渡所得など)を別々に入力できる**「詳細シミュレーター」**を利用しましょう。損益通算後の数値を入力することで、より正確な上限額が算出されます。

ステップ3:寄付は「控えめ」にしておく

株の売買は年末まで確定しません。予期せぬ損失が出て上限額が下がるリスクを考慮し、12月の最終取引が終わるまでは、計算上の上限額の8割〜9割程度に寄付を留めておくのが安全です。


まとめ

株で損が出た年は、税金を取り戻すための「確定申告」が欠かせませんが、それがふるさと納税の計算に直結していることを忘れてはいけません。

  • 損益通算をすると所得が減り、ふるさと納税の上限も下がる。

  • 税金の還付メリットの方が大きいことが多いが、寄付のしすぎには注意。

  • 年末に最終的な損益を確定させてから、最後の寄付額を調整する。

このルールを頭に入れておけば、投資も節税も賢く両立させることができます。計画的なふるさと納税で、資産運用をさらに充実させていきましょう。


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