タヌキが媒介する「疥癬(かいせん)」の恐怖|愛犬・愛猫を守るために知っておきたい感染ルートと予防策


「庭で見かけたタヌキの毛が抜けていて、皮膚がボロボロだった」という目撃情報が、近年、都市部や住宅街でも増えています。実はそのタヌキ、非常に感染力の強い皮膚病「疥癬(かいせん)」にかかっている可能性が高いのです。

疥癬はタヌキ同士だけでなく、大切な愛犬や愛猫、そして人間にも感染する恐れがある非常に厄介な病気です。この記事では、タヌキが媒介する疥癬の正体や感染ルート、そして大切なペットを守るための具体的な予防策について詳しく解説します。


疥癬(かいせん)とは何か?その正体と症状

疥癬とは、ヒゼンダニという目に見えないほど小さなダニが皮膚に寄生し、トンネルを掘って繁殖することで引き起こされる皮膚疾患です。

野生タヌキに蔓延する理由

タヌキには、同じ場所に排泄をする「溜めふん」や、家族で密集して生活する習性があります。このため、一度グループ内で感染が発生すると、あっという間に広まってしまいます。感染したタヌキは激しい痒みから皮膚を掻き壊し、毛が抜け落ち、象の皮膚のように硬くゴツゴツとした状態になります。衰弱して命を落とすことも少なくない、恐ろしい病気です。


ペットへの感染ルート:直接触れなくても危険!

「うちのペットはタヌキと接触していないから大丈夫」と油断してはいけません。疥癬の感染ルートは直接的な接触だけではないからです。

1. 間接的な接触による感染

ヒゼンダニは、感染したタヌキが体を擦り付けた壁、フェンス、木の幹、あるいは「溜めふん」の周囲などに一時的に潜伏していることがあります。散歩中の犬がそれらの場所に鼻を近づけたり、体が触れたりすることで感染するケースが非常に多いのです。

2. 庭への侵入

タヌキが庭に侵入し、ペットの寝床やテラスで休んだ場合、そこにダニが落ちている可能性があります。夜行性のタヌキが夜の間に残していった「目に見えない脅威」が、翌朝外に出たペットに付着するリスクがあります。


愛犬・愛猫に現れる疥癬のサイン

もしペットが以下のような様子を見せたら、すぐに獣医師の診察を受けてください。

  • 異常なほどの激しい痒み: 昼夜を問わず、血が出るほど執拗に体を掻き続ける。

  • 皮膚の赤みとフケ: 耳の縁、肘、踵、お腹周りなどに強い赤みや大量のフケが出る。

  • 脱毛と皮膚の硬化: 毛が薄くなり、皮膚がカサブタのように厚く、灰色がかってくる。

疥癬は一般的な皮膚炎と間違われやすいですが、放置すると全身に広がり、ペットにとって耐え難い苦痛となります。


大切なペットを守るための3つの予防策

疥癬のリスクからペットを守るために、飼い主ができる対策を徹底しましょう。

1. 散歩ルートの管理と注意

タヌキの目撃情報がある場所や、獣臭がする茂みには近づけないようにしましょう。特に「溜めふん」らしきものを見つけた場合は、すぐにその場を離れてください。散歩から帰った後は、ブラッシングをしながら皮膚の状態に異変がないかチェックする習慣をつけましょう。

2. 定期的な駆除薬の投与

現在、動物病院ではノミ・マダニだけでなく、ヒゼンダニ(疥癬)にも効果のあるスポットタイプの予防薬や投薬が処方されています。毎月定期的に投与することで、万が一ダニが付着しても発症を防ぐ、あるいは最小限の症状で抑えることが可能です。これが最も確実な防御策といえます。

3. 庭へのタヌキ侵入を徹底ブロック

庭をタヌキの生活圏にさせないことが重要です。

  • エサを放置しない: 外飼いのペットフードの残りはすぐに片付け、生ゴミは密閉します。

  • 隙間を塞ぐ: 縁の下や物置の隙間など、タヌキが隠れ場所にしそうなポイントを金網などで封鎖します。

  • 木酢液の活用: タヌキが嫌がる木酢液を庭の境界線に散布し、近寄らせない工夫をしましょう。


もし人間に感染したら?

疥癬は「人獣共通感染症」です。タヌキやペットから人間にヒゼンダニが移ることもあります。人間の場合、皮膚に赤いブツブツができ、夜間に眠れないほどの激しい痒みに襲われるのが特徴です。

ただし、タヌキに寄生するダニは人間の皮膚では長く繁殖できないため、適切な治療を受け、感染源(ペットや環境)を清浄化すれば完治します。異変を感じたら、すぐに皮膚科を受診してください。


まとめ:正しい知識がペットの健康を守る

タヌキ自体に罪はありませんが、彼らが媒介する疥癬は、私たちの愛するペットにとって大きな脅威です。野生動物との適切な距離を保ち、住環境を清潔に整え、そして医療の力を借りた予防を徹底することが、悲劇を防ぐ鍵となります。

「最近近所でタヌキを見るな」と感じたら、それは警戒のサインです。まずは毎月の予防薬の相談に動物病院へ行くことから始めてみてはいかがでしょうか。


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