人身事故の罰則と物損事故との違い、そして万が一に備える知識


はじめに:交通事故は誰にでも起こりうる?

交通事故は、どんなに安全運転を心がけていても、残念ながら誰もが巻き込まれる可能性のあるものです。特に「人身事故」となると、その影響は甚大で、被害者の方だけでなく、加害者となってしまった方にも重い責任が伴います。

「人身事故の罰則って、具体的にどれくらいなの?」「物損事故とは何が違うの?」

もしもあなたがそんな疑問を抱いているなら、この記事はきっとお役に立つでしょう。今回は、人身事故にまつわる罰則の全容から、物損事故との明確な違い、そして万が一に備えるための大切な知識まで、わかりやすく解説していきます。

人身事故とは?物損事故との決定的な違い

交通事故には大きく分けて「人身事故」と「物損事故」の2種類があります。この2つの違いを理解することは、非常に重要です。

物損事故:モノが壊れた時に適用される

物損事故とは、その名の通り、車やガードレール、電柱など「モノ」が壊れただけで、人の身体に損傷がない事故を指します。

  • 例:

    • 駐車場でバックしてきた車が、他の停車中の車のバンパーにぶつかった。

    • 運転中に電柱にぶつかり、車がへこんだ。

物損事故の場合、刑事罰が科されることは基本的にありません。民事上の損害賠償責任が発生し、壊してしまった物の修理費用などを支払うことになります。

人身事故:人が怪我をしたら適用される

一方、人身事故は、交通事故によって「人が怪我をしたり、死亡したりした場合」に適用されます。たとえ軽微な接触事故であっても、相手がむちうちなどの怪我を負ってしまえば、それは人身事故として扱われます。

  • 例:

    • 交差点で出会い頭に衝突し、相手が骨折した。

    • 横断歩道を渡っていた歩行者と接触し、相手が転倒して怪我をした。

人身事故では、物損事故とは異なり、刑事罰、行政処分、そして民事責任の3つの責任が問われることになります。

【ポイント!】

「相手が大したことなさそうだから物損事故で済ませよう」と安易に考えてはいけません。後から痛みが出て人身事故に切り替わるケースも少なくありません。必ず警察に連絡し、適切な手続きを踏むことが大切です。

人身事故で問われる3つの責任と罰則の具体例

人身事故を起こした場合、以下の3つの責任が問われます。それぞれの責任において、どのような罰則が科せられるのか、具体的に見ていきましょう。

1. 刑事責任:刑法に基づく「罰金」や「懲役」

刑事責任は、事故を起こした行為が犯罪とみなされる場合に問われる責任です。これは、国家が加害者に科す罰であり、その重さは事故の状況や加害者の過失の度合いによって大きく異なります。

主な刑罰としては、「罰金」と「懲役」があります。

  • 過失運転致死傷罪:

    • 自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合に適用されます。

    • 法定刑: 7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金

    • 「不注意で事故を起こしてしまった」といった一般的な人身事故で問われることが多い罪です。

  • 危険運転致死傷罪:

    • 飲酒運転や無免許運転、信号無視、ひどいスピード違反など、危険な運転行為によって人を死傷させた場合に適用されます。

    • 法定刑:

      • 人を負傷させた場合:15年以下の懲役

      • 人を死亡させた場合:1年以上20年以下の懲役

    • 過失運転致死傷罪よりも重い刑罰が科せられ、悪質性が高いと判断されるケースです。

【罰金の金額は?】

罰金の金額は、事故の状況(被害の大きさ、過失の程度など)によって大きく変動します。数十万円から数百万円に及ぶこともあります。

2. 行政処分:運転免許に関する「点数」や「免許停止・取消」

行政処分は、公安委員会(警察)が運転免許に対して行う処分です。交通事故を起こすと、違反点数が加算され、その点数に応じて運転免許の停止や取消といった処分が下されます。

  • 基礎点数:

    • 事故の種別(死亡事故、重傷事故、軽傷事故など)や、診断書の期間(全治日数)によって点数が異なります。

    • 例えば、死亡事故では20点、全治3ヶ月以上の重傷事故では13点、全治15日未満の軽傷事故では6点などが目安となります。

  • 付加点数:

    • 酒気帯び運転やスピード違反などの交通違反があった場合に、基礎点数に加えて加算されます。

【免許停止・取消の目安】

過去3年間で累積した点数によって、免許停止(免停)や免許取消の期間が決まります。

  • 免許停止: 一定期間、運転ができなくなります。期間は30日、60日、90日など様々です。

  • 免許取消: 運転免許が失効し、一定期間(欠格期間)は再取得ができなくなります。

【重要な注意点!】

診断書の内容は行政処分に直結します。軽傷だと自己判断せず、必ず病院で診断を受け、警察に提出しましょう。

3. 民事責任:被害者への「損害賠償」

民事責任は、事故の被害者に対して生じる損害賠償の責任です。これは、被害者が被った損害を金銭で償うことを指します。

  • 賠償の対象となる損害:

    • 治療費: 病院での診察、手術、投薬、リハビリなどの費用。

    • 休業損害: 怪我によって仕事ができなくなり、収入が減少した分の補償。

    • 逸失利益: 後遺障害が残った場合に、将来得られるはずだった収入の補償。

    • 慰謝料: 精神的な苦痛に対する補償。入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などがあります。

    • 物損に関する費用: 車の修理費用や代車費用など。

【損害賠償の支払いはどうする?】

多くの場合、加入している任意保険会社が示談交渉を行い、保険金で損害賠償を支払うことになります。しかし、保険ではカバーしきれない場合や、無保険の場合には、加害者自身が支払わなければなりません。

【ポイント!】

任意保険への加入は、万が一の事故に備える上で非常に重要です。自賠責保険だけでは、賠償できる金額に上限があり、全てをカバーできない可能性があります。

人身事故を起こしてしまったら?取るべき行動と心構え

万が一、人身事故を起こしてしまった場合、パニックにならずに冷静に対処することが重要です。

  1. 負傷者の救護: 最優先で行うべきことです。安全な場所に移動させ、必要であれば応急処置を行います。救急車を呼び、専門家の指示を仰ぎましょう。

  2. 二次被害の防止: ハザードランプを点灯させたり、発煙筒や停止表示板を設置したりして、後続車に事故を知らせ、さらなる事故を防ぎます。

  3. 警察への連絡: どんなに軽微な事故でも、必ず警察に連絡しましょう。事故状況の確認や、届け出の手続きが必要です。

  4. 保険会社への連絡: 加入している任意保険会社に、速やかに事故の連絡を入れましょう。その後の対応について指示を受けられます。

  5. 現場の記録: 状況を正確に把握するため、写真撮影(事故車両の破損状況、道路標識、信号機、周辺の状況など)や、目撃者の情報などをメモしておきましょう。

  6. むやみに示談しない: 警察や保険会社に連絡する前に、被害者と直接示談することは避けましょう。後々のトラブルの原因となる可能性があります。

人身事故の罰則を軽減する方法はある?

残念ながら、一度発生してしまった人身事故の罰則を完全に回避することはできません。しかし、状況によっては、その重さを軽減できる可能性があります。

  • 誠実な対応: 被害者への謝罪や、治療費の負担など、誠実な対応をすることで、示談交渉がスムーズに進み、刑事処分が軽くなる可能性もあります。

  • 示談の成立: 被害者との間で示談が成立している場合、特に刑事責任において、処分が軽くなる方向で考慮されることがあります。

  • 反省の態度: 事故に対する反省の態度を示し、再発防止に努める姿勢も重要です。

  • 弁護士への相談: 専門家である弁護士に相談することで、適切なアドバイスを受け、状況に応じた最善の対策を講じることができます。

まとめ:人身事故は「もしも」に備えることが重要

人身事故は、起こってしまってからでは遅いことがほとんどです。しかし、事前に知識をつけ、万が一に備えることで、その影響を最小限に抑えることができます。

  • 安全運転の徹底: 何よりも大切なのは、日頃からの安全運転です。

  • 任意保険への加入: 損害賠償責任に備えるため、充実した任意保険に加入しておくことが不可欠です。

  • 事故時の冷静な対応: 万が一の際にも、この記事で解説した手順に従い、冷静に対処しましょう。

交通事故のない社会を目指すためにも、一人ひとりが交通ルールを守り、思いやりのある運転を心がけることが大切です。

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