なぜムクドリは群れてやってくる?うるさい鳴き声と被害から家を守る対策
夕方、駅前や公園、街路樹のあたりで「ギャーギャー」「ギュルギュル」という、けたたましい鳥の鳴き声の大合唱を聞いたことはありませんか? その正体は、しばしば群れをなして現れるムクドリかもしれません。可愛らしい見た目に反して、その鳴き声やフンは、多くの人々にとって深刻な騒音や衛生上の問題を引き起こしています。
「なぜこんなにうるさく鳴くの?」「どうしてこんなに集まるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。この記事では、ムクドリが群れてやってくる理由やその生態、そして家庭でできる効果的な対策まで、詳しく解説していきます。ムクドリの被害に悩まされている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ムクドリってどんな鳥?その生態と習性
ムクドリはスズメより一回り大きく、全長約25cmほどの鳥です。全身が黒褐色で、目の周りから頬にかけて白い斑模様があるのが特徴です。日本では身近な野鳥で、以前は農地の害虫を食べる「益鳥」として知られていました。
1. 群れる理由:安全確保とコミュニケーション
ムクドリがこれほど大規模な群れを作るのには、いくつかの理由があります。
天敵からの防御: タカやフクロウなどの天敵から身を守るため、群れで行動します。数が多ければ多いほど、天敵に襲われるリスクを分散させられる「うすめの効果」が働きます。
情報交換・コミュニケーション: 群れの中で鳴き交わすことで、仲間との情報交換(餌の場所、危険の察知など)や、群れの統率をとっています。あの騒がしい鳴き声も、彼らにとっては重要なコミュニケーションの一部なのです。
安心できるねぐら: 人通りの多い駅前や市街地の街路樹、電線などは、天敵が近づきにくいため、ムクドリにとって安心して眠れるねぐらとなります。特に夕方から夜にかけて集まり、一斉に鳴き始めます。
2. 食性:何でも食べる雑食性
ムクドリは雑食性で、昆虫、ミミズ、果実、花の蜜など、様々なものを食べます。近年、都市部でよく見かけるようになったのは、都市のごみや落ちている食べ物なども餌にしているためと考えられます。
3. 繁殖と巣作り
ムクドリは、樹木の洞(うろ)や建物の隙間、戸袋、軒下などに巣を作ります。春から夏にかけての繁殖期には、巣作りや子育てを行います。
ムクドリがもたらす被害
ムクドリが群れをなして市街地にやってくることで、人間社会にはいくつかの問題が生じます。
騒音被害:
最も深刻な被害の一つが、その鳴き声による騒音です。数百羽、時には数千羽ものムクドリが一斉に鳴く声は、掃除機の音と同レベルの約75dBにも達すると言われており、近隣住民の睡眠や生活に大きな影響を与えます。特に夕方から夜にかけてのねぐら入り時と、朝方のねぐら立ち時にうるさく鳴きます。
フン害:
群れが集まる場所には、大量のフンが落ちます。歩道、車、洗濯物、建物の外壁などを汚し、美観を損ねるだけでなく、建物の腐食や滑りやすくなる原因にもなります。フンにはカビや細菌が含まれることがあり、アレルギーや感染症のリスクも指摘されています。
ダニ被害:
もしムクドリが家の軒下や戸袋などに巣を作ると、その巣にトリサシダニやワクモなどの寄生虫が発生することがあります。これらのダニが室内へ侵入し、人やペットを刺してアレルギー症状や皮膚炎を引き起こす可能性があります。
ムクドリを追い払うための効果的な対策方法
ムクドリは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で保護されており、許可なく捕獲したり傷つけたりすることはできません。そのため、追い払う、寄せ付けない、といった対策が重要になります。
1. 物理的な対策で侵入・滞在を防ぐ
防鳥ネット:
ベランダや戸袋、軒下など、ムクドリが止まったり巣を作ったりしそうな場所に、網目の細かい防鳥ネットを設置するのが最も効果的です。ムクドリはスズメより一回り大きいため、ハト用のネット(網目50mm程度)ではすり抜ける可能性があります。網目15mm程度のネットがムクドリ対策には有効です。隙間なくしっかりと張ることが重要です。
防鳥スパイク(剣山):
手すりや室外機の上、窓のひさしなど、ムクドリが止まりやすい場所にスパイク状の器具を設置します。ハトを傷つけることなく、物理的に着地を妨げます。
戸袋や隙間を塞ぐ:
ムクドリは戸袋や建物の隙間に巣を作ることがよくあります。使わない戸袋はガムテープなどで隙間を塞いだり、金網を取り付けたりして、侵入できないようにしましょう。
2. ムクドリが嫌がる「音」や「光」で威嚇する
ハトと同様に、ムクドリも予測できない刺激を嫌がります。
大きな音を出す:
手を叩いたり、バケツを叩いたりして大きな音を出すと、一時的に追い払う効果があります。ただし、近隣への配慮が必要です。市販の爆音機や超音波発生器もありますが、ムクドリが慣れてしまうこともあります。
光を当てる:
LEDライトや懐中電灯で強い光を当てることも効果的です。特に夜間に集まっているムクドリに有効ですが、人や他の建物に光を向けないよう注意が必要です。
キラキラ光るもの:
CDやアルミホイル、防鳥テープなどを吊るし、光の反射と揺れる動きでムクドリを警戒させます。効果が薄れてきたら、位置を変えるなど工夫しましょう。
3. ムクドリが嫌がる「匂い」で寄せ付けない
忌避剤(きひざい):
市販のムクドリ用忌避剤には、ムクドリが嫌がる匂いや成分が含まれています。スプレータイプ、固形タイプ、ジェルタイプなど様々な種類があります。特に、ムクドリが止まりたくなくなるようなベタつくジェルタイプは効果が高いとされています。使用説明書をよく読んで、安全に使いましょう。
4. 環境整備でムクドリを寄せ付けない
餌場をなくす:
生ゴミの管理を徹底し、フタ付きのゴミ箱を使用するなど、ムクドリが餌を得られないように工夫しましょう。庭に落ちている果実などもこまめに片付けます。
ねぐらとなる場所をなくす:
自宅の庭木や敷地内の樹木がムクドリのねぐらになっている場合は、剪定を行って枝を減らし、ムクドリが身を隠せる場所をなくすことが有効です。
清潔を保つ:
ムクドリのフンは、彼らを呼び寄せる誘引剤のようなものです。フンを見つけたらすぐに掃除し、ベランダや家の周りを常に清潔に保ちましょう。
5. 最終手段としてプロに相談
様々な対策を試しても効果がない場合や、被害が深刻な場合は、専門の害鳥駆除業者に相談することも検討しましょう。プロはムクドリの習性を熟知しており、法に触れない範囲で効果的な対策を講じてくれます。
まとめ:諦めずに複合的な対策でムクドリの悩みを解決!
ムクドリによる騒音やフン害は、放置すると深刻なストレスとなりかねません。しかし、ムクドリがなぜ群れるのか、何を嫌がるのかを理解し、適切な対策を講じることで、その被害を減らすことが可能です。
今回ご紹介した物理的な対策、音や光、匂いを使った威嚇、そして環境整備など、複数の方法を組み合わせて継続的に行うことが、ムクドリを家から遠ざけるための鍵となります。根気強く対策を続けることで、きっと平和で快適な生活を取り戻せるでしょう。