なぜ人は「権威」に従ってしまうのか?恐ろしい心理学実験『ミルグラムの実験』をわかりやすく解説

こんにちは!あなたは、もし誰かから「電気ショックを与えなさい」と命令されたら、それに従いますか?

「そんなこと、するわけないでしょ!」そう答える方がほとんどだと思います。でも、実は多くの人が、ある状況下では命令に従ってしまうことが、恐ろしい心理学の実験で明らかになっているんです。

今回は、社会心理学の歴史に残る、**「ミルグラムの実験」**について、その内容と、なぜこの実験が今もなお私たちに深く問いかけてくるのかを、一緒に考えていきましょう。

「アイヒマン裁判」がきっかけで生まれた実験

**「ミルグラムの実験」**は、1960年代にアメリカの心理学者、スタンレー・ミルグラムによって行われました。この実験のきっかけとなったのは、ナチス・ドイツのホロコーストに関わったアドルフ・アイヒマンの裁判です。

アイヒマンは、「なぜ多くのユダヤ人を虐殺したのか」という問いに対し、「自分は上官の命令に従っただけだ」と答えました。この言葉は、多くの人に衝撃を与えました。「なぜ、そこまで非人道的な命令に、多くの人が服従してしまったのか?」ミルグラムは、その問いの答えを探るために、この実験を計画したのです。

実験の概要:あなたは「先生」、相手は「生徒」

実験は、新聞広告で集められた一般の人々を対象に行われました。参加者は、くじ引きによって**「先生役」に選ばれます。もう一人の参加者は「生徒役」**になりますが、実はこの生徒役は、実験の協力者(サクラ)です。

「先生役」のあなたは、生徒が問題を間違えるたびに、電気ショックを与えるように指示されます。最初は軽い電圧から始まり、生徒が間違えるたびに電圧はどんどん強くなっていきます。


実験のルール

  1. 生徒が問題を間違える。

  2. 先生は、決められたレベルの電気ショックのスイッチを入れる。

  3. 間違えるたびに電圧を上げる(最大450V)。


生徒は、電気ショックが強くなるにつれて、苦痛の声をあげ、やがては無言になってしまいます。それでも、白衣を着た**「権威」**ある実験者は、「実験を続けてください」と淡々と命令します。

驚くべき実験結果:想像を超える「服従」

「生徒が苦しんでいるのに、まさか電気ショックを与え続ける人なんていないでしょ?」そう思いますよね。

しかし、実験の結果は驚くべきものでした。なんと、被験者の**約65%**が、生徒が反応しなくなっても、最も高い450Vの電気ショックを与え続けたのです。これは、生死に関わるほどの非常に高い電圧です。


なぜ人は「権威」に従ってしまうのか?その心理を分析

この実験は、人間が権威からの命令にどれほど同調しやすいかを浮き彫りにしました。この結果には、いくつかの心理的な要因が関係しています。

1. 権威への**「服従の心理」**

私たちは、制服を着た人や、専門的な肩書きを持つ人など、権威を持つ存在に対して、無意識のうちに従う傾向があります。実験者が着ていた白衣が、その効果を強めたと考えられます。

2. 責任の分散

「これは実験者が責任を持つことだ」「自分はただ指示に従っているだけ」と考えることで、自分の行動に対する責任を感じにくくなります。これも、多くの人が実験を続けた大きな理由です。

3. 実験の「正当性」

実験という特殊な状況が、「これは科学のためだ」という正当性を生み出し、非人道的な行為をすることへの心理的な抵抗を弱めました。

現代社会と「ミルグラムの実験」のつながり

「ミルグラムの実験」は、何も遠い昔の出来事ではありません。私たちの身近なところにも、この実験で明らかになった服従の心理が潜んでいます。


職場の**「同調圧力」**

会社のルールや上司の指示に、疑問を感じながらも逆らえないこと、ありませんか?ブラック企業の過酷な労働環境や、ハラスメントがまかり通る背景には、この権威への服従同調圧力が深く関わっていることがあります。

インターネット上の**「炎上」**

ネット上で、誰かを一斉に攻撃する**「炎上」も、「みんながやっているから」という同調圧力**によって、個人が責任を感じにくくなる現象です。

傍観者効果との関連性

「誰かが助けてくれるだろう」という傍観者効果も、この実験と深く関連しています。多くの人が、自分以外の誰かが行動してくれると期待し、結果的に誰も行動しないという状況が生まれます。

「ミルグラムの実験」への批判と倫理的な問題

この実験は、心理学の歴史に大きな功績を残した一方で、被験者に強いストレスを与えたとして、倫理問題が指摘されました。被験者は、他人に電気ショックを与えたという事実で、精神的な苦痛を経験したのです。

これ以降、心理学の実験では、被験者の人権や安全を守るための厳しい倫理規定が設けられるようになりました。

まとめ:私たちは「アイヒマン」になりうるのか?

**「ミルグラムの実験」**は、「善良な人間でも、特定の状況下では非道な行為をしてしまう可能性がある」という、非常に重要なメッセージを私たちに投げかけています。

これは、「私たちは皆、悪人になる可能性がある」ということではなく、**「自分の行動に責任を持ち、権威からの命令であっても、それが本当に正しいことなのかを問い続ける必要がある」**という教訓を教えてくれているのです。

同調圧力権威への服従は、現代社会でも見過ごせない問題です。この実験をきっかけに、ぜひ、あなたの周りの「当たり前」をもう一度見つめ直してみてくださいね。

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